
■トラック運転手が事故を起こしたらどうなる?
トラックで交通事故や商品破損などを起こした場合、会社が全額負担してくれるケースもあれば、自腹で全額弁償するケース、何割かを負担して弁償するケースなど、会社によって対応はそれぞれ違います。
ここでは、仕事中の交通事故や商品破損の弁償についてや、トラブルを防ぐため方法について解説しています。
・法律の支払い義務としては
法律的には、労働者が通常求められる注意義務を尽くしている場合には、損害賠償義務は生じないのが原則。労働者に重大な過失や故意がある場合には、損害賠償義務を負うことになる。
会社の指示で長時間労働や無理な業務によって起きた事故に関しては、損害賠償義務は発生しないが、運転中にスマホを操作していて起きた事故のような労働者の過失や故意がある場合には、損害賠償義務を負うことになるため、修理費などを負担することになります。
修理金額の負担割合に関しては、会社によってそれぞれ異なるため、会社との話し合いによって負担割合は決まります。
・会社の自動車保険
個人の場合、自動車保険に加入するのが一般的ですが、運送業界では大手の運送会社でも自動車保険に加入していない会社もあります。
なぜ大手の運送会社で自動車保険に加入しない会社があるかというと、事故を起こしたとき、自動車保険を使うと保険料が高額になるため、保険を使わずに修理費を支払ったほうが安く済むからです。
運送会社が加入する自動車保険は、「フリーと契約」といって、トラック1台1台で契約するのではなく、会社が所有するトラックをまとめて契約する自動車保険です。そのため、交通事故を起こして保険を使うことによって、保険料がかなり高額になってしまうため、会社側は保険を使うのを嫌がります。
修理費が高額なケースは保険を使うが、数十万程度なら、会社側が一時的に全額修理費を立て替えて、会社の規則に基づき、運転手が分割で会社に支払う(天引きされる)というのが一般的です。
・自己負担(弁償)
大半の運送会社は、交通事故や物損事故を起こしたら、給料天引きや無事故手当をカットするなどして、運転手が弁償するケースが多く、会社側が全額負担してくれるような運送会社は本当に稀です。
自己負担の割合は会社によって異なります。
数万円の弁償で済むなら、それほど生活に支障が出ないのでいいのですが、トラックの修理費は高額になるケースが多く、安くても数十万円します。
「自己負担するのは絶対に嫌だ」という方は、面接時に確認するようにしましょう。
既に働いていて、自社の契約内容について知らない方は、雇用契約書を確認するか、契約書に記載がない場合は、上司に確認されることをお勧めします。
事故を起こしてからでは、遅いですからね。
■トラブルを防ぐためにできること
トラック運転手の仕事では商品破損や交通事故などのトラブルは付き物ですが、事前に対策をしておくことで、トラブルを最小限にすることができます。
下記に商品破損や交通事故のトラブルを防ぐためのポイントについてまとめてみました。
・面接で自己負担について必ず聞く
交通事故や商品破損事故を起こしたときの自己負担について必ず面接の際に聞くようにしましょう。もし、あやふやな回答でごまかすような対応をされた場合、後々トラブルになる可能性が高いので、そのような会社は避けたほうが無難です。いくら給料や待遇が良くても、自己負担100%だと、毎日トラックに乗るのが怖いですからね。
・安全運転を心がける
交通事故や商品破損事故は、自分だけでなく、会社にも取引先の企業にも大迷惑がかかります。無謀な運転や自己中心的な運転をしていれば、それだけ事故を起こす可能性が高くなります。「絶対に事故を起こさない」「確実に商品をお客さんに届ける」という意識を持ち、安全運転を心がければ、事故を起こす可能性がグンと減ります。
・ルールを守る
交通ルールや作業ルールなどを無視したときに、交通事故や商品破損事故が起きる可能性が高くなります。自分を守るためにも、決められたルールを守って行動するように心がけましょう。
■まとめ
僕自身、いろいろと運送会社を転々としてきたのですが、交通事故や商品破損事故も何度も経験してきました。
・同じ会社のトラック同士で交通事故を起こし80万円を会社から請求された。
・トラックの箱をぶつけて修理代を分割で支払った。
・新車のトラックを乗用車にぶつけて35万円を分割で支払った。
・商品を破損させて自腹でお店の人に支払った。
これら以外にも、いろいろと自腹で弁償したことはたくさんあります。
これらの経験をしてきたため、今は転職をする際は必ず面接時に自己負担について質問するようにし、事故を起こさないよう、交通ルールや作業ルールを守るようになりました。
交通事故や商品破損事故はトラックドライバーには付き物なので、自分を守るためも、日々安全運転と作業ルールを守るようにしたいですね。
今働いている会社の自己負担が100%であったり、納得がいかない場合は、安心して働ける運送会社に転職するのも一つの選択肢としてアリだと思いますよ。事故を起こしてからでは遅いですからね。